国防の盲点 2013 4 20

 最近は、国民の間に、
「自分の国は、自分で守る」という意識が高まっています。
 このような気持ちは、非常に大切なことで、
国民の意識が高まってこそ、国防は成り立つものです。
 どんなに強力な兵器を揃えたところで、
国民の意識が低ければ、国防力も低いと言わざるを得ないでしょう。
 さて、「自分の国は、自分で守る」という気持ちは大事ですが、
そうした議論に、よく欠けているものがあります。
 それが、シーレーン(海上交通路)の防衛です。
日本の場合は、たとえ国土が守れても、
シーレーンが守れなければ、国家としては終わりです。
 日本は、貿易立国だけでなく、
資源がない国ですから、
外国から資源を輸入しなければ、国家として生きていません。
たとえば、石油や天然ガスは、日本にとって、不可欠です。
 戦前の日本軍の敗戦の大きな原因のひとつとして、
海上交通路の防衛を軽視したことがあります。
つまり、次々と海上交通路が寸断されたことにより、
日本軍だけでなく、国家そのものも窮地に追い込まれました。
 そういうわけで、資源がない国は、
国土防衛と同じくらいシーレーンの防衛が重要です。
 現在、日本の代表的なシーレーンというと、
台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡を経て南シナ海、
そして南シナ海からマラッカ海峡を経てインド洋、
さらにインド洋からペルシャ湾へ至るシーレーンがあります。
あるいは、紅海を経て欧州へ至るルートもあります。
 多くの人は、「かなり広い」と思ったでしょう。
これだけ広範囲にわたると、
とうてい日本の海上自衛隊だけでは守りきれないのです。
 そこで必要となるのが、アメリカ海軍です。
今までは、これで問題なかったのですが、
将来、どうなるかを考えておく必要があります。
 戦後、長い間、アメリカ海軍は、
自国のシーレーンを守るついでに、
日本のシーレーンも守ってきました。
 ところが、いわゆる「財政の崖」に象徴されるように、
アメリカの財政問題が、アメリカ海軍の維持にも影響するようになっています。
 さらに、イラクやアフガニスタンのように、
アメリカ軍が、中東から撤退する方向となっています。
 これは、アメリカにとって、
石油の中東への依存度が、かなり低くなったことが原因です。
 アメリカは、輸入先の多角化を進めただけでなく、
アメリカ国内においても、シェールガスやシェールオイルで盛り上がっていて、
要するに、国内資源が豊富になったのです。
そのため、アメリカの中東への関心は下がってきたのです。
 さて、日本は、どうするか。
輸入先の多角化と言っても、石油の場合は難しいものがあります。
 インド洋は、かなり広く、ここを守るには、
原子力潜水艦と空母が必要となるでしょう。
少なくとも、原子力潜水艦が不可欠です。
 もちろん、アメリカは、すぐには中東やインド洋から撤退しないでしょうが、
永遠に、アメリカが中東やインド洋に駐留を続けることはないでしょう。
 さて、日本は、どうするか。
国防というものは、10年先、20年先、
いや50年先を見据えて考えておく必要があります。
 自分たちの繁栄だけでなく、自分たちの子孫、
つまり子や孫の繁栄も考えておくべきです。

ペルシャ湾 2012 11 4
 将来、アメリカから、
「ペルシャ湾は、日本が自力で守れ」と言われる日が来るでしょう。
 現在、ペルシャ湾は、バーレーンに司令部を置く、
アメリカ第5艦隊(空母を含む)が守っていますが、
この体制が、いつまで維持できるか。
 アメリカは、いつの間にか、原油輸入の多様化を進め、
原油の中東への依存度は、かなり下がっています。
 やがて、アメリカは、中東なしでも、
原油も天然ガスも輸入先に困らないということになるでしょう。
さらに、今、アメリカは、シェールガスやシェールオイルで盛り上がっています。
 これは、もしかすると、禁断の果実を口にしたかもしれませんが、
いずれにせよ、アメリカの国内資源は有力です。
つまり、アメリカの中東への関心は下がっていくでしょう。
 問題は、アメリカの納税者の動向です。
「巨額の税金を使って、アメリカ第5艦隊を駐留させているが、
これは、税金の無駄遣いではないか」という声が出てくるかもしれません。
 そうなると、いったい、どこの国が、
ペルシャ湾の原油や天然ガスを最も利用しているのか。
つまり、最も恩恵を受けている国が、ペルシャ湾を守るべきではないかとなるでしょう。
その国とは、日本です。
 相変わらず、日本の政治家は、天下泰平の日々を過ごしているでしょうが、
本当に、のんびりしていていいのか。
 親米派の政治家は、「日米軍事同盟があるから大丈夫だ」と言うでしょうが、
はたして、それでアメリカの納税者を納得させることができるのか。
 世界は、刻々と変わりつつあるのです。
にもかかわらず、日本の政治家の頭は、終戦直後のままです。

空母 aircraft carrier 2005 2 17
 日本は、将来的に、空母が必要になるでしょう。
なぜかというと、アメリカの軍事力が弱体化するからです。
 アメリカは、巨額の財政赤字を抱えています。
それは、天文学的な数字です。
これでは、いつか「空母セット」が維持できなくなります。
(空母と駆逐艦のセットを維持するには、巨額の経費がかかります)。
 日本人が贅沢できるのは、貿易で、金儲けしているからです。
そして、儲けた「お金」で、世界中から、資源や食糧を買い集めているからです。
 こうした「日本の贅沢」は、アメリカの軍事力が弱体化すれば、終わりです。
まさか、飛行機に、日本製品を積んで、商売するわけにはいかないでしょう。
 「アメリカの財政赤字の状況」と「アメリカ軍の再編成」を見ながら、
日本の空母を検討すべきです。
 今のアメリカの財政では、全世界に、
「空母セット」を展開することはできないはずです。
























































































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